オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(第3部)

投稿日:2018年7月2日 更新日:

再臨ロゴ2

 

橙(だいだい)の花は空に上り、紅い果実は熟れて雨露に濡れた。

「アイツは、本物の魔法少女だったんだ……」

巴マミの死は紛うことなき事実だった。
誰よりも強く、誰よりも優しい魔法少女は自らの信念を貫き、螺良くるみと共に円環の理によって消滅した。
くるみの魂は救われたが、残された魔法少女たちには深い悲しみをもたらした。

魔法少女の運命はいつも過酷だった。希望を輝かせた少女たちに幸せな結末はないのかもしれない。

しかし、悲しんでばかりはいられなかった。

「まだ終わっていないわ」

暁美ほむらが見据えているのは、もうひとつの螺旋の宝珠。
螺良(つぶら)あかねの持つソウルジェムは、すべての絶望を忘れたまま見滝原を彷徨っているはずだった。

「ああ、わかってる。まだ終わっちゃいないんだ」

佐倉杏子は頬に流れる涙の音をかき消すように立ち上がると、花型の髪留めを握りしめた。
ほむらもそれがマミの遺したものだとすぐに気付いた。

「それはあなたが持っていなさい。巴マミもきっと喜ぶわ」

「アンタにそんな感情があるなんて思わなかったよ。いや、悪い意味じゃないんだ。ありがとな」

杏子は髪留めを自分の後ろ髪に当てポニーテールを結び直した。
ため息の色は橙に染まり、今ここにある現在地を確かめる。

ほむらの部屋には、杏子、ほむら、天生目ゆう子と、そしてキュゥべえがいる。
杏子の傷はほとんど癒えているが、ソウルジェムはすでに限界に近く、もう魔法少女になることすらできない状態だった。
ほむらは外傷は無いが、魔力による自己の肉体修復をしていないので満足に動ける状態ではない。
唯一無事なのはゆう子だけだった。

「あたしとゆう子で、あの白いヤツを探してみる。あたしはもう魔力を使えないからな、みんなの目になるよ。ほむら、アンタは最後の切り札だ」

ほむらが放つ魔法の矢、螺良あかねに対抗できるとしたら、あの光の矢しかない。
イチジクの魔獣を一瞬で消し去った魔力が、杏子たちに残された最後の魔法だった。

「ゆう子、手伝ってくれるか?」

「うん、巴さんの仇を討つんだよね」

ゆう子は目を真っ赤に腫らしていた。

「はは、そうだな。マミの仇討ちだ。あたしたちの生命の保証はないけど、それでもいいかい?」

「杏子ちゃん、私も覚悟はできてるよ」

「上等」

杏子の八重歯が笑った。
生命を危険に晒すことになるが、ゆう子の覚悟は揺るがない。
運命を共にするソウルジェムの絆で、それ以上の言葉は必要なかった。

「キュゥべえはここにいてくれよな。お前がいないとテレパシーが届かないんだから」

「この絶望的状況でそこまで冷静でいられるとはね。杏子、君の成長は大したものだよ。マミを超える魔法少女になれるとしたら、やはり君以外にはあり得ないだろうね」

「こんな時にお世辞なんかいらないっての。あたしはマミを超える気なんてないんだからな」

マミは遥か彼方、手の届かない存在だよ、と杏子は言った。

「魔法は経験と修練で伸びる部分もあるけど、持って生まれたセンスと背負った因果による力は超えられない壁なんだよ。そして固有の能力もまた同じだ。杏子、君は現存する魔法少女の中でもずば抜けたセンスを持っている。マミもそれに気付いていたようだけどね」

「今となってはどうでもいいことさ」

マミも認めた才能の持ち主である杏子も、グリーフシードが手に入らない今は、魔力の使えない手負いの獅子。
杏子は左手の指輪を眺め、そう呟いた。

「それともうひとつ、天生目ゆう子」

「え……私?」

「君はまだ自分の力に目覚めていないようだ。魔法少女の才能という意味では平凡なレベルだけど、君は何か特別な力を秘めているんじゃないのかい?」

これまでゆう子が見せてきた固有魔法は、まばたきによる瞬間移動。
あのイチジクの使い魔がさんざん杏子たちを苦しめた能力を、グリーフシードと共に受け継いでいた。

「思い出してごらん、君が叶えた希望の祈りを」

「私が叶えたのは、杏子ちゃんとお友達でいたいっていう願い……」

「魔法少女たちは普通、願いを元にした能力を身に付けるものなんだ。杏子の幻惑魔法、ほむらの時間操作、マミの命を繋ぐリボン、でも君はその能力をまだ見せていないね」

「え?」

驚いたように声を出したのは杏子だった。

「どういうことだよ。ゆう子には別の能力があるってことなのか?」

「いつの時代にも異才な魔法少女はいるものなんだ。あの螺良くるみだって、普通ではあり得ない異質な能力を持っていただろう? 無限の穢れなんて、僕らの記憶にはない存在だからね。そういう意味ではゆう子、君の成り立ちは最初からイレギュラーだ」

グリーフシードの転生から生まれた魔法少女は、過去に前例のない極めつけのイレギュラー。
本来は魔女に成るべきグリーフシードを無理矢理ソウルジェムに逆行させ、願いと共に魂の宝珠を輝かせたゆう子は、普通の魔法少女ではない。

つまり

「君の瞬間移動能力はグリーフシードから受け継いだ、いわば裏側の力。使い魔程度が操る凡庸な魔法なんだよ。ということは、表の力……ソウルジェムを輝かせた君の祈りに適った能力が、他にあるはずなんだ」

ゆう子にはもうひとつ、本当の力がまだ眠っている。

「私に何か、別の力がある?」

「そうでないと、君の祈りと能力につじつまが合わないからね。それがどんな能力なのかはわからないけど、もしかしたらこの絶望的状況をひっくり返せるくらいの力を秘めているかもしれない」

逆に言えば、何か特別な力がない限り、今この状況を変えることはできない。
杏子ですらまったく歯が立たなかった相手を止めることができるとしたら、マミのように己の生命を犠牲にしての相打ちがせいぜいだ。
しかし、ほむらも杏子も同じ魔法は使えない。

「もっとも、魔法少女が持つ固有の力はひとりにひとつ。普通は多重能力なんてあり得ないんだけどね。可能性の話をするならば、そのソウルジェムは君だけの意思で生まれたものではないということだよ」

グリーフシードの転生を経て希望の光を宿した魂の宝珠、ゆう子の左耳にあるイヤリング型をしたソウルジェムが静かに輝いた。
あのソウルジェムはほむらが手に入れ、ゆう子に託した物。

「天生目(あまのめ)涼子の力も受け継いでいるかもしれないわね」

ほむらが静かにその名前を口にすると

「ほむら!」

杏子が慌てて制止した。

ゆう子の失われた記憶。
円環の理によって消滅した、ゆう子の実姉である天生目涼子の存在はこれまでずっと伏せてきた。

「これ以上黙っていても仕方のない話よ。いつかは知らなければならない現実。あなたの気遣いはわかるけど、今はそれどころではないでしょう?」

「天生目……涼子?」

記憶の片隅に眠る懐かしい響き。
触れられない雲のように、目に見えない風のように、ゆう子の頭の中に泡沫の記憶が交錯する。
ほむらは躊躇わずに言葉を続けた。

「覚えていないのも無理はないわ。消滅した魔法少女の記憶は、普通の人間には残らないのよ。これはあなたが魔法少女になる前の話、天生目涼子はあなたの……お姉さんよ」

 

続く

 

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