オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(第3部14話)

投稿日:2018年10月5日 更新日:

再臨ロゴ2

 

螺良あかねは、すべてを可能にする魂のコントロールと、自我を捨てる。
そこは意思ある生き物が堕ちる、最後の場所。

「あなた、それは……魔獣と同じ」

涅槃の空間に、もう子供の姿ではない螺良あかねがいた。
魔法少女でもない、魔女でもない、人の姿をしているが、人と呼べる姿ではない。

白く細い身体で、スラリと立ち上がった。

(失った右半身が、再生していない)

ほむらの矢でえぐられた部分は、再生していなかった。
右肩から脇腹にかけて失った身体はそのままで、片側だけ広がる翼は先程よりも大きく、さらに禍々しい。
何よりも恐ろしいのは、その表情だった。
顔は大人びた女性そのものだが、目が氷のように冷たい。
薄く開けたふたつの眼(まなこ)……

冷え切ったその目は、一体何が見えているのか。

「最初からこうすればよかったのかな」

声は、あかねの幼い声そのままだった。

「希望とか絶望とか、祈りとか呪いとか、そんなことは、もうどうでもいい」

丈の長い真っ白いドレスで、股下が大きく割れ、鳥の羽のように後ろになびかせている格好。
胸元、肩、腰の部分は色白な肌が露出している。
白と薄いグレーのハーリキンチェック(菱形模様)のようなタイツで足を包み、白いアルパルガータ(足の甲から足首の上まで紐で結んだ靴)を履いている。

髪の毛だけは黒だったが、身体のすべてが何から何まで真っ白な、純白で無垢な姿。

白は純粋で神聖なイメージがある。
清純で正義なイメージがある。
が、あかねの瞳は希薄で冷淡、そして空虚に虚無にほむらを見ていた。

それはまるで、白い悪魔だった。

「あなたの言ったとおり、ワタシたちに幸せな未来なんて、どこにもないんだね」

ほむらに言っているのか、自分自身に言っているのか、誰か他の者に言っているかわからないが、あかねの言葉は何もかもを諦めているように聞こえた。

そのまま、ソウルジェムが輝く星空を見上げてから、冷たい目線だけをほむらに向ける。
殺気、というよりも、その視線から強烈な恐怖を覚えて、ほむらは思わず身構えた。
あの目からは、感情が見えない。

あかねは無言で左手を空に向けた。
掌を広げ、遥か頭上のソウルジェムを掴むように。
すると、いくつかのジェムがチラチラとまたたき、暗い空からほむらの前に落ちてきた。

落ちてきたのは、小さなソウルジェムではなく、黒い少女。
胸元だけにカラーを持つ、真っ黒なシルエットの少女。

黄色、緑色、藍色、水色……様々な色に輝く、魂の宝珠を胸の中に埋め込んだ、影のような少女。

「まさか……本当にソウルジェムに生命を吹き込んだの?」

黒い少女たちは、大きな剣や、槍や、杖、薙刀など、黒い固有の武器を手に、ほむらを取り囲んだ。

「や、やめて」

背丈恰好はほむらと同じくらいの少女たちが、一斉にほむらに襲いかかった。
ほむらには、銃火器と終局の弓矢以外に武器がない。
破損した八咫の盾は四次元収納の効力を失い、銃火器を取り出すことはできなかった。
終局の弓も、今のほむらの魔力ではもう使うことができない。
いや、それよりも

「やめて……」

黒い少女たちの攻撃をギリギリかわし、半分に割れた八咫の盾で刃を受け止め、それでもほむらは反撃できずにいた。
ソウルジェムを宿している少女たちは、魔法少女なのではないか。
彼女たちの中に輝く魂の宝珠、あれを砕くことは、彼女たちに再び死を与えてしまうのではないか。

「なんて、なんて残酷なことをするの?」

大きな薙刀がほむらの背後を襲い、鋭利な刃が背中を浅く切り裂く。
正面からは長い杖の殴打が、強烈な一撃で八咫の盾を砕いた。

黒い魔法少女たちの、ひとりひとりの強さはほむらには到底及ばない。
が、武器も持たず、反撃もしないほむらには、繰り出される波状攻撃を防ぐ手立てはなかった。
砕けた八咫の盾では、時の魔法も使えない。

「あなたたちの魂は、過去に救われたはずよ。なぜまた、呪いの道に踏み出そうとするの?」

ほむらの問いかけに、魔法少女たちは一瞬動きを止めたように見えたが、すぐに藍色の少女が大きな剣で薙ぎ払ってきた。
間一髪で空中に逃れたが、今度は緑色の少女が槍を振り下ろし、長い柄がほむらの腰のあたりを激しく叩き伏せる。

「うぐっ!」

という苦し気な声と共に、ほむらは床面に落下した。
辛うじて態勢を整えて着地し、追撃を防ごうと空を見上げたところに、今度は水色の少女が杖を振りかぶった。
ほむらが見たのは、振り下ろされる杖と、それを持つ少女の目から流れる一筋の涙。

硬い杖の殴打で、鈍い音が響いた。

そこへ他の黒い少女たちが舞い降り、次々と武器を振り下ろす。
切り裂く音、叩きつける音……ほむらの身体を壊す、グチャグチャと生々しい音が、何度も何度も響いた。

「紫色の、時の魔法少女さん。あなたも星になるんだよ。涅槃を照らす光に」

あかねは空を見上げたまま、そう言った。
黒い少女たちが、黙って手を止める。
その足元には、朱に染った、暁美ほむらの無残な姿があった。

ほむらはピクリとも動かず、息をしているのかもわからない。
左手の甲にあるソウルジェムは、黒い影を揺らめかせていた。

「残りのふたりも、一緒にね」

あかねは、黒い少女たちに囲まれ、ボロ雑巾のように横たわるほむらの向こうを見て言った。
そこには、ふたりの魔法少女が、今まさに空間を飛び越えて来たところだった。

「ここは一体?」

「ほ、ほむらさん!」

赤いローブ姿の魔法少女と、赤紫色の燕尾服の魔法少女。
佐倉杏子と天生目ゆう子が瞬間移動で辿り着いたのは、ほむらの部屋ではなく、この涅槃の空間だった。

「おい、これはアンタらの仕業なのか?」

杏子はズタズタになったほむらの姿を見ると、影の少女をギラっと睨んだ。
それぞれが手に持つ黒い武器から、ほむらのと思われる鮮血が、ポタリ……ポタリ……と垂れ落ちていた。

杏子は、それを見るとすぐに赤い槍を構え、八重歯を剥きだして突進した。
頭の上でクルクルと槍を旋回させ、黒い少女たちを一気に薙ぎ払う。
黒い少女たちは一斉に飛び上がり、杏子の攻撃から空中に逃れた。
藍色のジェムを秘めた少女だけが大剣で受け止めるが、杏子の一撃は大剣を真っ二つに折り、そのまま黒い身体を吹っ飛ばした。
真っ黒で影のような身体は脆く引き千切れ、空間の中に溶けるように消えてしまった。

カラカラと、何かが転がる音がした。

杏子は足元のほむらに目線だけを向け

「ゆう子!」

後ろを振り向くことなく、ゆう子を呼んだ。

「大丈夫だ、まだ生きてる。傷を癒してやってくれないか」

「うん」

ゆう子は足を踏み出すことなく瞬間移動でほむらの傍らに寄り、そこにしゃがみ込むと、魔力を開放して癒しの魔法を当てた。
出血はすぐに治まり、みるみる傷が癒えていく。
ゆう子の癒し魔法は、ほむらの身体を完全に回復させた。

が、

「杏子ちゃん」

ほむらのソウルジェムは、黒い揺らめきが色濃く漂っている。

「ほむらさんのソウルジェムが……」

紫色のジェムは、先程の杏子の物と同じように、穢れの澱を滲ませていた。

「ちっ、もう最後の魔力を使っちまったのか?」

ほむらに委ねたはずの、螺良あかねを仕留める最後の手段。
無花果の魔獣を一瞬で消し去った、ほむら最強の魔法。

「え? それを……もう、使ったのか?」

杏子は、宙に浮く黒い少女たちから目線を落とし、半身を削られている人の姿を捉えた。
片側だけ大きな翼を生やし、こちらを見つめる真っ白な姿。

「また会ったね、赤い魔法少女さん」

その声に、杏子は目を見開き戦慄した。

 

続く

 

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