オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【オリジナル小説】魔法少女まどか☆マギカ[別編]~再臨の物語~(第1部3話)

投稿日:2017年11月6日 更新日:

 

 

「イチジクだろうがピーマンだろうが、実体がない意思だけの魔女なんてどうやって見つければいいんだよ」

杏子は通話を終えソウルジェムを取り出し、光の反応を確認してみた。

光は相変わらず微弱で、結界の方向を示そうとはしない。

――でも待てよ?

今さっきここで使い魔が現れたということは、グリーフシードが近いんじゃないか?

バス停からここまで歩いてくる間、結界や使い魔の気配はなかった。もしかしたらこの近くに、孵化していないグリーフシードがあるのかもしれない。

そう考えると、この近くに住んでいるゆう子が心配になってきた。

まさかグリーフシードとゆう子に関係はないだろうが……あの時、信号待ちで見たゆう子の物憂げな表情が、杏子の脳裏から離れなかった。

「家はこっちって言ってたな」

杏子は十字路を左に曲がり

「苗字は、天生目(あまのめ)か」

と表札を探しながらゆっくりと歩き出した。

少し行くと、1階のリビングらしき部屋と2階の部屋から明かりがこぼれている一軒家に

【天生目】

の表札があった。

あまり目にしない苗字だから、この家で間違いないだろう。

中の様子は分からないが、特に変わった様子はなさそうな気がする。最近は勉強が疎かになっているせいで、両親が冷たいと言っていた。

――天生目ゆう子

兄弟はいるのだろうか。祖父や祖母はいるのだろうか。

杏子は何年も前に両親と妹を亡くしているので、中学2年生のゆう子が家族とどんな時間を過ごしているのか想像がつかない。

(家族かぁ)

杏子はふと、自分の家族のことを思い出していた。

 

佐倉杏子の父は神父だった。

父は人々に教えを説く聖職者だったが、教義に含まれない内容まで信者に説いたために信者や本部から見放されてしまった。

そんな父の姿に心を痛めた杏子は「父の話に人々が耳を傾けてくれるように」という願いでキュゥべえと契約を交わし魔法少女になった。

しかし、一時は教会に人々が溢れかえるも、それが魔法の効果によるものであると知った父は激しく怒り、酒浸りになった末に錯乱し杏子を“魔女”と罵るなどした後に杏子のみを残して母と妹を道連れに一家心中してしまった。

(全部、あたしのせいなんだけどな)

父を救いたいと願った魔法少女への契約は、家族の破滅という結末になってしまった。

父の為にと奇跡を願った自分の傲慢さを呪ったこともある。

しかし、どんな過去があろうが父と母、そして妹がいた家庭は嘘偽りではない。

そして今、目の前には知り合ったばかりとはいえ、勉強のことで両親と折り合いが悪いと言っていたが、ゆう子の温かい家と家族があるのだ。

(勉強、頑張ってるのかな)

明かりの灯る2階の部屋を眺めてから立ち去ろうとしたとき、頭上から声がした。

「あの子が気になる?」

この声は……

ふわっと杏子の目の前に降り立ったのは、ひと月以上も姿を見せていなかった暁美ほむらだった。

「ほむら!」

ほむらは白と紫を基調とした魔法少女の姿で杏子の前に立つと

「しばらくね」

と簡単な挨拶を口にし、まるで今までの経緯をすべて見てきたかのような口調で

「あの子には、関わらないほうがいいわ」

と左手で長い黒髪を撫で揺らしながら言った。

「おい、それはどういうことだよ。お前何か知ってるのか?」

相変わらずほむらの短い言葉では意図が掴めない。

「まさか、ゆう子と魔女に何か関係があるっていうのか?」

杏子の問いに、ほむらは表情を変えないまま

「魔女? そうね、あの子のそばには魔女がいる。正確には、魔女の意思を宿すグリーフシードが転生を始めようとしているのよ」

(グリーフシードが、転生?)

「意味がわからないでしょうね。でも、これ以上はあなたたちが知らなくてもいいことよ」

(こいつ、何を知ってるんだ?)

「私はこれから起こる、グリーフシードの転生を見届けなければならない。その鍵となるのが天生目ゆう子。だからあの子には関わらないでもらえるかしら。私の邪魔をするなら、あなたたちでも容赦はしないわよ」

言葉に殺気が滲むが、戦う気はなさそうだった。ほむらはしばらく杏子を見つめ

「巴マミにも伝えておきなさい」

と言い残して去っていった。

 

続く

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