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【オリジナル小説】魔法少女まどか☆マギカ[別編]~再臨の物語~(第1部10話)

投稿日:2017年11月13日 更新日:

 

【魔法少女まどか☆マギカ 別編 再臨の物語】を最初から読んでくださる方は
>>>魔法少女まどか☆マギカ 別編 再臨の物語(1-1)

 

グリーフシードの転生が始まり、魔女の魂とゆう子の魂が転換される。

すると……どうなるのか?

 

その頃マミとキュゥべえは、杏子やほむらがいる魔女の結界の外側にいた。

ゆう子の家を中心として半径数百メートルが結界と化していて、結界と外の世界の境界線が赤紫色の壁のように半球体を形成している。

「私たちは蚊帳の外に追いやられてしまったわね」

マミは結界の壁に片手を当てるが、赤紫色の壁は外敵の侵入を拒むように弾き返してくる。杏子の手助けをしようにも、この距離ではテレパシーも届かない。

「すんなり入れてくれそうにないわね。無理やりお邪魔するしかないかしら」

そう言ってマスケット銃を大量に出現させると、次々と結界の壁に向かって撃ち放った。

ダーン!

ダーン!

ダダーン!

ダダーン!

単発打ちのマスケット銃を両手で一丁ずつ持ち替えながら、繰り返し何発も何発も、壁の同じ個所を狙って撃ち続けていく。

弾はすべて壁に弾き返されていくが、この程度の火力で壁を撃ち抜けるとは思っていない。

小さな傷ひとつでいい。そこから突破口を作りたい。

何十発と打ち続けると、壁にほんの僅かな白い亀裂が入った。

「いくわよ!」

マミは気合の掛け声をかけると

「ティロ・フィナーレ!」

特大の砲撃を小さな亀裂に向けて発射した。

轟音と共に結界の一部に裂け目ができ、人ひとり通れるだけのスペースが開く。

中から異常なくらいの魔力の波動が漏れ伝わってくるのは、あのグリーフシードが発しているのか。

「キュゥべえ、もしグリーフシードが転生を始めてしまったら止めることはできないの?」

「いや、手がないわけじゃないよ。ただし、それなりのリスクは覚悟しなきゃいけないけどね」

(……また詳しい話は後回しなのね)

キュゥべえのいつもの態度には少々ウンザリだが、今は一刻も早くゆう子に何が起きているのか、これから何が起ころうとしているのかを確かめなければならない。

マミはキュゥべえを伴い、急いで杏子の所へ向かった。

結界の中は相当に広く、赤紫色の霧で視界が悪いが、グリーフシードが発していると思われる魔力の波動がとても強いので、真っすぐ先に杏子たちがいるのがはっきりと感じ取れた。

しばらく進み、結界の中心に近づいてきたマミに見えたのは、杏子がひたすら使い魔を避け続けているところだった。

この広い空間で囲まれたら手も足も出なくなるので、あの行動はさすが杏子と思ったが、そこから何をしようとしているのかはわからない。

(佐倉さん、学校でのようにゆう子ちゃんとグリーフシードを引き離すだけではダメよ)

次の瞬間、

杏子は使い魔の波状攻撃の間を縫って無花果の大樹に突っ込み、そのまま樹の真ん中に飛びつくと、幹の隙間から中にいるゆう子に手を伸ばし叫んだ。

「ゆう子、目を覚ませ! そいつは魔女の魂だ、自分の意思をしっかり持て!!」

幹の隙間から手を伸ばしても、ゆう子とグリーフシードには届かない。ゆう子は一瞬だけ目を向けてきたが、それ以上の反応がなかった。

「ゆう子ー!」

再び叫ぶ杏子の後ろに、使い魔が四方から一斉に飛び掛かってくる。

全身に激しく体当たりを浴びた杏子は、大樹から転げ落ち、地面に倒れこんでしまった。

そこへ使い魔たちは追い打ちをかけようとさらに突っ込んでくる。倒れた杏子はすぐに起き上がれない。

槍で身を防ごうとしたときには使い魔が次々と飛び込んでいた。

無数のイチジクの実が重なり、杏子の上にのしかかる。

1体1体の使い魔はさほど大きくないが、あれだけの数に押しつぶされてしまっては無事では済まないだろう。

「佐倉さん!」

マミが駆け寄ろうとすると、少し離れたところでほむらが

「心配ないわ」

と言って杏子を抱えていた。

「いつの間に? まさか今のは……」

あのタイミングで杏子と一緒に避けてくるのは尋常な速さではない。

(もしかして、時間を止めたの?)

ほむらは時間操作の魔法を失っているはずなのだが。

「使い魔を上手く避けていたのはいいとして、無意味にあそこに飛び込んだのは安直だったわね」

冷静に、淡々と言葉を吐く。

使い魔の最初の体当たりが効いているのか、杏子はよろめきながら

「無意味じゃねえ、ゆう子はあたしの声に反応してた。まだ意識はあるはずなんだ。ゆう子に、こんなことさせてたまるか!」

ほむらを振り払い立ち上がる。

「無意味で、無駄なことよ。見なさい、もうグリーフシードの転生は始まっているわ。いま余計な手出しをすればあなたも、あの子の身もただでは済まないわよ」

「え? 始まってるって、あれが・・・?」

見上げると、無花果の大樹の方に大気が集まり赤紫色の霧が吸い上げられゆっくりと渦を巻いている。そして大樹の中心部分では、グリーフシードの黒い輝きがゆう子を包んでいた。

「今まさに、天生目ゆう子と魔女の魂が転換されようとしている。このまま放置すれば、魔女の魂はあの子に宿り、あの子の魂はグリーフシードに閉じ込められるのよ。魔女は生命体として生まれ変わることになるけど、円環の理によってすぐに消滅するわ」

「それが、お前の狙いなのかよ」

杏子はほむらを睨み

「ゆう子はあの魔女を消滅させるための犠牲なのか!?」

乱暴にほむらの袖を掴み叫んだ。

確かに、穢れが溢れグリーフシードから孵化しようとする魔女が円環の理によって消滅するのは道理だ。

しかしそうまでしなくても、穢れたグリーフシードはキュゥべえが吸収することができる。キュゥべえの背中には四次元の吸収口があり、グリーフシードを異次元に吸い込んで魔女の孵化をこの世から消し去る役割があるからだ。

だからゆう子を媒体にするのは余計な犠牲といえる。

「このまま放置すれば、と言ったでしょう?」

と言ってほむらはキュゥべえを見る。

釣られて杏子もマミも、この白くて耳長で猫のような姿をした魔法の使者・インキュベーターを見た。

キュゥべえは皆の視線を受けて

「なるほど、そういうことか。暁美ほむら、最初からそのつもりだったんだね。いくら僕でも、天生目ゆう子とグリーフシードがあそこまで干渉してしまってはもうどうすることもできない。でも、天生目ゆう子自身の意思があればグリーフシードを転生させることができるということなんだね」

すぐにほむらの意図を理解した。

「でもなぜ、わざわざこんなことをするんだい? わけがわからないよ。これじゃ またひとつ、君の因果が増えるだけだというのに」

魔女の孵化が迫っているグリーフシードをなぜここまで放置し、ゆう子を巻き込んでまでソウルジェムへと転生させようというのか。

意図は理解できたが、目的は理解できなかった。

「まあとにかく……このままじゃ本当にあの子の身体は魔女の意思と共に円環の理に導かれてしまうね。暁美ほむら、君の意図は理解したけど目的はわからないままだ。でも今それを聞いている時間はなさそうだね。いいだろう、君のやろうとしていることを見届けさせてもらうよ」

と言って小さな体を無花果の大樹へ向けた。

 

続く

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