オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【まどマギ小説】魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-9)

投稿日:2018年2月19日 更新日:

再臨ロゴ2

 

明らかに異常な光景だった。おとぎ話のような舞踏会場に現れたおもちゃの兵隊人形が動き、踊り、ゆう子に襲いかかってくる。

『ゆう子、そいつらはきっと使い魔だ。グリーフシードが近くにあるかもしれないよ』

キュゥべえがテレパシーで言葉を送ってくる。どこにいるのか姿が見えないが、きっと近くにいてゆう子を見ているのだろう。ゆう子は人形たちの銃撃をまばたきで躱し

「グリーフシードがあるって言われても、私どうすればいいの?」

と問いかける。マミや杏子から、グリーフシードを見つけたらどうするのか何も聞いていなかった。

『まずはその兵隊たちを何とかしないと。話はそれからだ』

キュゥべえは戦いを助けることはない。いつもの「詳しいことは後回し」な物言いに終始しているが、ゆう子にとってはこれが魔法少女として初仕事のようなもの。キュゥべえに言われるまま

「わかった!」

と言って人形をもう一体叩き潰した。ゆう子の膝丈くらいの大きさの兵隊人形は、短槍で叩くには丁度良い相手だった。まばたきで相手の攻撃を躱しながら一瞬で間合いを詰めて、叩いては離れ、叩いては離れてのヒットアンドアウェイは、ゆう子の能力を最大限に活かした戦法と言える。

(杏子ちゃん、私だってちゃんと戦えるんだから!)

20体は居たと思われる兵隊人形をあっという間に半分ほど退治して、形勢はゆう子に有利に見えた。

しかし、だんだんゆう子の動きが遅れてきた。まばたきをする度に姿を消してはいるが、消えるタイミングが徐々に遅くなってきている。人形たちはゆう子に狙いを定めてからゲベール銃を発射するので、ゆう子は狙われた瞬間にまばたきをする。が、まばたきをしてから瞬間移動が始動するまでに、わずかな遅れが生じていた。

(あれ? なんだか上手く動けなくなってる?)

ゆう子もその一瞬の遅れに気付く。気付くが、その時にはもう人形の銃撃が身体を掠っていた。おもちゃのゲベール銃のように見えるが、発射されている弾丸は本物と変わらない威力を持っていて、姿が消える瞬間のゆう子の頬や肩に一直線の掠り傷を負わせる。兵隊人形の狙いはやけに正確で、ゆう子の顔付近を執拗に傷付け続けた。

(痛い! もっと離れないと当たりそう)

人形との間合いをどんどん離し、ほとんど壁面に追いやられながら銃弾を躱していくが、ゆう子の瞬間移動は遅くなる一方だった。遂に一発の銃弾に肩を貫かれ、ゆう子はそのままよろめきながらクリスマスツリーの台座の裏に身を隠してしゃがみこんだ。銃創を負った左肩からは真っ赤な血が溢れ、激痛で腕を上げることもできない。魔法少女としての治癒能力で出血はすぐに止まったが、恐怖で身体に力が入らなくなってしまった。

ツリーの台座の向こうからは、カチャカチャと音を立てて兵隊人形たちが迫ってくる。出口は無いし、瞬間移動も遅い。

「もう、逃げられない……」

恐怖と戦慄で、ゆう子は目を瞑って顔を伏せた。

兵隊人形の足音が真横で止まる。恐る恐る目を開くと、ゆう子の頭を狙った銃口が、もう目と鼻の先に向けられていた。

「いやー!!」

と叫び声をあげた瞬間、目の前の人形は鈍い音を立てて何かに突き刺され、そのまま音もなくヘナヘナと消えてしまった。床に突き刺さったのは、大きな赤い槍。

「ったく、見てらんねぇっつーの」

見慣れた赤いロングブーツでゆう子のすぐそばに降り立ったのは杏子だった。

「杏子ちゃん!」

「あんなのもまともに相手できないくせに、ひとりで何しようってんだよ」

槍に手を掛け、ゆう子を見降ろしながら呆れたように言った。

「まあ話は後だ。そこで大人しく座ってな」

杏子はニヤっと余裕の笑みを浮かべると槍を引き抜き、高さ3メートル以上はあるだろうクリスマスツリーを大きなジャンプで飛び越えた。そのまま空中で槍を多節棍のように分断し、ゆう子に迫っていた兵隊人形を水平に薙ぎ払う。動きの鈍い人形たちは、鞭のようにしならせた杏子の槍で一気に打ち払われた。

辛うじて残った最後の一体が杏子に向けてゲベール銃を発射してくる。銃弾は正確に杏子の胸の辺りに飛来するが、杏子は槍の柄の部分で簡単に銃弾を弾き返し、一瞬で槍を元の状態に戻した。ツリーの台座から大きく離れた場所に着地した杏子は、穂先を相手に向けて槍を構える。

「ゆう子!」

杏子は兵隊人形の向こう側に隠れているゆう子を呼び

「見てな」

割れた鏡に映るゆう子を見た。ゆう子は台座とツリーの隙間からチラっと覗くと、兵隊人形が杏子にゲベール銃を向けていた。

「杏子ちゃん、危ない!」

ダーン!

と銃声が響いた瞬間に杏子は目を見開き、槍の穂の部分で銃弾を弾き返した。

「す、すごい」

「へっ、こんな下等な使い魔、瞬殺っしょ」

目線だけを鏡越しにゆう子に向け、口元から八重歯をのぞかせると、ゆらっと流れるような動きで真横に移動する。それに釣られ、兵隊人形が銃口で杏子を追いかけた次の瞬間、赤い槍が矢のように人形を貫いた。

杏子は目にも止まらぬ速さで槍を投げ、人形を攻撃したのだった。その威力は相当なもので、人形を木端微塵に粉砕した槍はそのまま部屋の壁まで到達し、大きなカーテンの垂れ下がる壁も激しく打ち砕いている。槍の刺さる壁の隙間からは、白い光が漏れていた。

「うわー……」

ゆう子は感嘆の声を出す。

『さすが杏子だね。また力を付けたんじゃないかい?』

キュゥべえも感心しているようだった。

「ま、それでもほむらの矢の威力には勝てねーけどな」

ヘヘっと満更でもない表情を浮かべて杏子は壁に刺さった槍を取ると、クルクルと廻して槍柄を床に立てた。

 

続く

 

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