オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【まどマギ小説】魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-6)

投稿日:2018年1月29日 更新日:

再臨ロゴ2

 

前回のお話はこちら魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-5)

 

杏子たちは住宅地の北側に位置する、街の中心部の探索を始めていた。大きなショッピングモールがある歓楽地は休日を過ごすたくさんの人で賑わっていて、とりわけ若者や子供連れなどが多く集まっている。行き交う人々はショッピングを楽しんだり、劇場やアミューズメント施設へ入っていったりと、思い思いの時間を過ごしていた。

杏子はそんな人たちを横目に、ソウルジェムを握りしめたまま黙々と探索に集中して歩き続けた。週末を楽しむ人々の中で、鋭い視線を放つ杏子だけはまるで別世界の人間のように暗い雰囲気を醸し出していた。ある時はすれ違う若者の手元を凝視し、ある時は遠く離れた少女たちの動きに注視し、グリーフシードを持っている者はいないか、魔女の結界や使い魔の気配がないかを注意深く探し歩く。

怖いくらいに真剣な杏子の後ろを、歓楽地の賑やかさと華々しさをキョロキョロと眺めながらゆう子が続いた。左耳のイヤリングに収まる小さなソウルジェムを薄く光らせながら後を追っていくが、お互いに公園を出てからずっと黙ったままなので、何をどう探していいのかわからない。それでも杏子の進む方へと続きながら

「杏子ちゃん、あの服カワイイね」

とか

「杏子ちゃん、あそこのクレープ美味しそうだよ」

などと和ませるように話しかけてみるが、返ってくる返事は

「ああ」

とか

「後でな」

といった素っ気ない言葉ばかりが杏子の背中から発せられた。さすがに耐えかねたゆう子は

「ねえ杏子ちゃん、私も一緒に探すから、どうしたらいいか教えてくれないかな」

努めて明るい声で言うと、それまでひたすら歩き続けていた杏子は突然立ち止まり、思いもよらないことを訊いてきた。

「なあゆう子、どうしてグリーフシード探しを手伝いになんか来たんだよ」

「え、どうしてって……」

杏子の質問の意味がよくわからないゆう子は答えに困っていると

「昨日の戦いで分かっただろうけど、あたし達は遊びでやってるんじゃないんだ。命を危険に晒して、死を覚悟してやってるんだ。お友達ごっこのおふざけじゃ務まらないんだよ」

背を向けたまま、冷たく突き放すように言い放たれた。

「わかってるよ。私だって杏子ちゃんと同じ魔法少女なんでしょ? グリーフシードを手に入れないと生きていけないって昨日の電話で巴さんに聞いたから、私も役に立たなきゃいけないって思ったから来たんだよ。危険なことは覚悟してるつもりだし、それに……」

ゆう子の言葉が終わらないうちに

「命を危険に晒すってのはな、そうするしか他に仕方ない奴だけがやることなんだよ。そうじゃない奴が首を突っ込むのはただのお遊びだ。危険は覚悟してるつもりなんて、そんな生っちょろいおふざけは足手まといなんだよ!」

「杏子ちゃん、どうしたの……?」

「お前には家族がある。勉強や部活や、やらなきゃいけないことが他にたくさんある。大切なモンを失っちゃいけない奴が命を懸けてやることじゃないんだ」

感情的な杏子に圧倒され、ゆう子はそれ以上喋れなかった。

「このまま帰りな。そしてもう二度と魔法の力を使おうなんて考えないことだ」

辛辣な言葉を突き付け、杏子はひとりで歩き出した。ゆう子は立ち止まったまま動けず、杏子の後ろ姿を見つめることしかできなかった。人々で賑わう歓楽街の中に杏子の姿が消えていっても、ただ茫然とその先を見つめていた。

 

 

「くそっ!」

杏子はしばらく歩いてから、苛立ちを抑えきれずにひとり喚いた。すれ違う人たちがチラっと目線を向けるが、何事もなかったかのように横を通り過ぎていく。

杏子は不器用すぎた。ゆう子の身を危険に晒したくない、魔法少女になってしまった過去を変えることはできないが、せめて今の幸せな生活を壊したくない、そんな気持ちをうまく伝えられずにゆう子を突き放してしまった自分が許せなかった。もっと他に言い方はあったろうに、あまりに感情的になってしまったせいで心にもないことを言ってしまった自分に腹が立った。天生目涼子の死を知ってしまったが故に、同じ不幸を巡らせてはいけないとばかり考え、冷静さと素直さを見失ってしまっていた。

(あたしは何をしてるんだ)

ゆう子が悪いわけではない。悪いのは感情をぶつけてしまった自分だ。すぐに引き返せばまだゆう子がいるかもしれない……今ならまだ間に合う……と思いながらも足は勝手に前へ前へと進んでしまい、そのまま後ろを振り返ることもできずに杏子は歩き続けた。

 

続く

 

次回のお話はこちら魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-7)

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