オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【まどマギ小説】魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-4)

投稿日:2018年1月15日 更新日:

再臨ロゴ2

 

翌朝、マミと杏子、そして天生目ゆう子は見滝原市内の水上公園で待ち合わせた。前夜にマミはゆう子に連絡し、グリーフシード探しを手伝ってもらえるよう約束をしていた。ただ、ほむらだけは今回も単独で行動するようで、皆とは会わず朝早くからどこかに出かけた様子だった。

「ゆう子ちゃんは、見滝原に来るのは初めて?」

マミはバスで1時間以上かけて来てくれたゆう子に気を遣って尋ねた。

「いいえ、何度か来たことはあります。ショッピングなんかは六千石町よりも見滝原のほうが便利ですもんね」

「そうね。大きなショッピングモールもあるし、ゆう子ちゃんが着ているような可愛い服もたくさん売っているわよね」

ゆう子は濃いグレーのインナーシャツに薄いグレーのジャケット、深紫色のミニスカートに膝上まであるニーソックスとブーツを履いた可愛らしい恰好をしていた。先日の六千石町ではもっとラフな服装だったが、今日はその時とはイメージが変わっている。

「でも普段はもっと楽な格好をしているんですけどね。今日は気合入れて来ちゃいました」

にこやかに杏子の方を見るが、なぜか杏子は話しづらそうに目を合わさず黙っていた。マミは杏子のおかしな態度に気付いていたが、それを口にすることなく

「それじゃ、佐倉さんとゆう子ちゃんはふたりで街の中心部の歓楽地を回ってみてちょうだい。私は川沿いを南の方へ探索してみるから」

と言って杏子とゆう子を一緒に行動させるように促した。

「ゆう子ちゃんは初めてだから、佐倉さんと一緒に探してみて。佐倉さん、先輩として面倒を見てあげてちょうだいね」

「わかったよ」

杏子は不機嫌そうに頷く。マミはそんな杏子の素振りを気にせず

「夕方3時に ここで待ち合わせしましょう。何かあったら携帯で連絡を取るようにね」

それじゃ、と言って川沿いの方へ向かっていった。杏子もすぐに街の中心部へ足を向け

「行こうぜ」

と素っ気なく歩き出す。

「あ、待って杏子ちゃん」

ゆう子はそんな杏子の態度をいぶかしく思いながらも、急いで後を追いかけ公園を後にした。

 

(佐倉さん、あなたの考えていることも分かるわよ)

マミは、どうして杏子が冷たい態度をとっているのかわかっていた。

(昨日の暁美さんの話で、ゆう子ちゃんがお姉さんを亡くしていることを気にしているのね)

冷たいというよりも、ゆう子にどう接していいのかわからなくなっているのだった。杏子も昔、家族3人を失っている。状況は違えど、それは魔法少女の因果によって訪れた不幸であることには変わりはなかった。杏子は家族を失った原因が自分にあると思い続けているので、魔法少女への契約がゆう子の姉・天生目涼子の消滅へと繋がってしまったことを他人事のように思えなくなっていた。しかもゆう子には姉に関する記憶がまったく無いので、何も力になれない自分とやり場のない悲しみが一層杏子を苛ませた。

(でも佐倉さん、誰でも少なからず悲しみを抱えて生きているものよ。そしてその悲しみは、自分の力で乗り越えていかなきゃいけないわ)

悲しみは絶望を生み、絶望は魂を穢す。グリーフシードが手に入らない今、魔法少女の最大の敵はソウルジェムの穢れだ。負の感情をコントロールできなくなれば、それだけ大きな穢れを生み出すことになる。天生目涼子の消滅を知ってしまった杏子は、自らの過去の贖罪と結び付けて自分を見失ってしまうかもしれない……そう思ったマミは敢えてふたりを一緒に行動させ、杏子はゆう子を助け、ゆう子は杏子の支えになるよう願っていた。

 

見滝原は市内を東西に分断するように大きな川が流れていて、川の東側に街の中心部があり、西側には発電施設や工場が広がっている。川沿いには整備された大きな歩道があって、所々に設置された階段で川縁まで降りることができようになっていた。

マミはその川沿いの歩道を南下して、反時計回りにぐるりと街の中心部へ戻るつもりだった。

見滝原市は近年、最先端技術を取り入れた都市開発が進められてきた近未来型都市だが、街の西側はまだまだ古い工業地が多い。昨日はその発電施設や工業地の周辺を探索してきたけれど、特に手がかりは掴めなかった。どちらかと言えば、未だに古い工業地が残る西側の方が魔女が隠れるのに都合が良さそうではあるが、まだ孵化していないグリーフシードが人の手にあったとしたら、ひと気の多い場所を探した方が効率的かもしれない。そう考えて今日は、杏子たちには人がたくさん集まる歓楽地へ向かってもらい、マミは川沿いの新興住宅地周辺を探索することにした。

週末の午前中ということもあって、川沿いは散歩をする人たちや川辺の緑地で遊ぶ家族連れが多い。小さな子供が無邪気に遊ぶ姿や、年配の老夫婦が仲良く歩いている所を見る度に、今までこの街を魔女から守ってきた自分が誇らしく思えた。

マミはソウルジェムを抱え、川沿いの歩道を南に向かって歩く。

良く晴れた日で、通りかかる人々の表情までもが明るく朗らかに見えた。とても魔女や使い魔が現れる雰囲気ではないが、そんな普通の日常を一変させてしまうグリーフシードがあるかもしれないと思うと、マミは気を抜くことができなかった。

 

続く

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