オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【まどマギ小説】魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-18)

投稿日:2018年4月23日 更新日:

再臨ロゴ2

 

魔法少女が、魔法少女を殺す。

魔女が存在していた頃を仮に魔女歴(まじょれき)と呼ぶとすれば、魔女歴では魔法少女が魔女を殺していた。そして円環の理以降の今の世を円環の歴(えんかんのこよみ)と呼ぶとすれば、円環の歴では魔法少女が魔法少女を殺す。

魔女と魔法少女……。

姿は違えど、それはどちらも人間の少女の成れの果て。人が人を殺し、血で血を洗う人間の歴史のごとく、魔法少女もまた、殺し殺される運命なのか。

 

「ここが、ほむらさんの家ですか」

マミたちがほむらの家に到着すると、家の入口のドアが開け放たれたままになっていた。それも隙間程度ではなく、完全に開けきっている状態。不用心にもほどがある……と思う間もなく、微かに血の匂いが漂ってきた。よく見ると、ドアノブ、壁、床など、白を基調としたほむらの家中は至る所にこすれたような血の跡が残っていた。

「暁美さん!?」

マミは慌てて中に入りメインフロアになる真っ白な円形の部屋に来ると、そこにはボロボロになったほむらが倒れていた。魔法少女の姿のまま、服は所々が破れ、焼け焦げ、血の跡で黒く染まり、満身創痍の状態で気を失っている。額から流れ出た血は生々しい赤黒さを留めていて 、傷が完全に癒えていないのが見て取れた。

「これは……」

「もしかして、死んじゃってるんですか?」

「いいえ、でも相当な重傷。どうしてこんな……」

普段から用心深いほむらがマミたちの来訪にも気付かず、意識がないままだった。ただ静かに息をする音だけが聞き取れた。

「魔力での肉体修復が追いついていないのかしら。それにしても暁美さんがここまで酷い傷を負ってくるなんて」

マミは急いで自らの魔力を開放し、ほむらの身体を癒す肉体修復に当たった。額の傷も火傷の後もみるみる回復していく。ふと、ほむらの左手の甲にあるソウルジェムを見ると、少しだけ穢れのモヤが揺れているのが見えた。

「巴さん、私もお手伝いできますか?」

ゆう子が横から心配そうに見てきた。

「大丈夫、私はみんなの中では1番こういうのが得意なのよ。ほら、もう傷はほとんど治っているわ」

マミは「ふうっ」と軽く息を吐いて、ほむらに魔力を向けていた両手を下ろすと

「まだ意識は戻らないけど命に別状はないようだし、すぐに目を覚ますはずよ」

と言ってそばにあるソファに腰掛けた。ほむらの傷は癒えたが、魔法少女の服装はボロボロのまま。袖やスカートには焼け跡が残り、胸や腰のリボンは千切れ、服のあちこちには引き裂かれたような跡から傷の癒えた白い肌が見えていた。

これは、戦いの跡だ。

ほむらはどこかで何者かと戦ってきている。そして恐らく、戦いに敗れ命からがら逃げてきたのだろう。ほむらのような歴戦の魔法少女をここまで打ちのめす敵がいる。杏子が殺されかけ、ほむらも重傷を負うほどの相手とは一体……。

「これじゃ、3人で佐倉さんを助けに行くのは無理ね」

マミの考えた杏子を救出する計画は崩れた。一刻を争う状況の中で、もう選択肢はひとつしか残されていないとマミは思った。

「ゆう子ちゃん、ショッピングモールでの時のことをもう一度教えてもらえないかしら」

「は、はい。えっと……私がひとりでブリキの兵隊人形に囲まれちゃった時に杏子ちゃんが助けに来てくれて……」

「ううん、その前。あの魔女の結界はゆう子ちゃんがひとりで見つけたのよね? その時、ソウルジェムに反応はあったのかしら」

マミには、未だに杏子が捕らえられている結界の場所が掴めない。ソウルジェムを使った探知機能でも居所がわからないので、ゆう子が魔女の結界を見つけた経緯が知りたかった。

「いいえ、私はソウルジェムの使い方がまだわからないので、あの時は確か……ショッピングモールの中で小さな女の子を見つけたんです。その子がひとりであの扉を開けて中に入って行ったから、どうしたのかなって追いかけたらあの部屋に」

「小さな女の子?」

「5歳か6歳くらいの髪の毛をふたつに結んでる子なんですけど、あんな所にひとりでいたから迷子かと思って」

それを聞いてマミの頭の中に一瞬、つぶらくるみが思い浮かんだ。くるみも、 髪の毛をふたつに結んだ5~6歳の少女だった。

「もしかしてその子、くるみちゃんていう名前じゃないわよね?」

「直接お話する前に見失っちゃったんで名前は聞いてませんけど、巴さんの知ってる子なんですか?」

「いえ、ごめんなさい。そんなはずはないわね」

同じくらいの時間に自分が家まで送り届けようとしていたので別人だろう。ショッピングモールからの距離を考えれば同一人物とは考えにくい。週末の歓楽街ならば似たような境遇の子供がいてもおかしくはない、と思ったのだが

「くるみ……つぶら、くるみ」

ほむらがゆっくりと呟いた。肘で上半身を支えながら身体を起こし発したその声に反応したのは、マミとキュゥべえだった。

「暁美さん、くるみちゃんを知っているの?」

「知っているも何も、今あなたが言った名前の子に、私は殺されかけたのよ」

「何ですって!?」

ほむらは左手にある自らのソウルジェムをチラっと見てから、ヨロヨロと立ち上がった。

「つぶらくるみ、あなたの言った少女と同一人物なら、あの子は最強最悪の魔法少女よ」

「くるみちゃんが、……魔法少女?」

小さな身体で幼い笑顔を浮かべていたあの少女が、魔法少女……。信じ難いという表情を浮かべたマミは、くるみとの出会いを思い出してみた。

あんな小さな子供がオフィス街のど真ん中にたったひとりで居たこと
他の誰でもなくマミに近寄ってきたこと
ソウルジェムが見えていたこと
そして、この街に長年住んでいるマミですら見たことがなかった、あの市松模様の建物。

たしかに普通の少女ではないかもしれないが

「でもくるみちゃんは小さな子供。あんなに幼い魔法少女がいる……はずないわよね」

「いいえ、あの姿は見せかけ。つぶらくるみは魔法の力で自分の姿をいくらでも変えられるわ。現に私の目の前で、今まで殺してきた魔法少女の姿を何人も見せてくれたのよ。魔力で肉体構造そのものを変化させるなんて芸当は初めて見せてもらったわ。あの子は紛れもない魔法少女。インキュベーターによって生み出された魔法の契約者」

ほむらは部屋の中央にちょこんと座る魔法の使者、キュゥべえを見た。それに釣られてマミとゆう子もキュゥべえに視線を向ける。皆の目線を受けたキュゥべえは表情を変えずに、ゆっくりと語りだした。

「つぶらくるみ、か。確かに彼女は僕が契約した魔法少女だ。いや正確には、彼女たちと呼ぶべきだけどね」

 

続く

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