オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

【まどマギ小説】魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(第2部)

投稿日:2018年1月4日 更新日:

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すべての生き物は、生き延びるために、種の存続のために進化を繰り返してきた。強きも弱きも、正義も悪も、人も魔女も、生きる事への固執は変わるものではない。自らを存在させようとする意思は何よりも強く、時にはこの世の理に逆らい、どんな犠牲を払ってでも生きることを選ぶ。

そうして魔女は、生きるために自我と魔力を捨て魔獣になった。

これは進化でも退化でもなく、ただただ生きるための変化でしかない。もし魔獣に生きる目的があるとしたら、それはすべてを滅ぼし、自らも破滅を迎えるためだけに生きようとしているのかもしれない。

生きることを望む生命はやがて死へと向かう。その理もまた生きるものの運命。人も魔女も、そして魔法少女も。

 

魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(第2部)

 

放課後、淡く橙色に光るソウルジェムを手に持ち、巴マミはひとりで見滝原市の郊外を歩いていた。もちろんそれは、まだ見つかっていないもうひとつのグリーフシードを探すためだった。

昨夜の六千石町で起こったグリーフシードの転生と魔獣の出現から一夜明けて、マミはすぐに行動を開始していた。マミの考える魔法少女としての存在意義は、その使命を全うすること。自らの意思で魔法少女へと転身してから今まで、常に先頭に立ってこの見滝原を魔女から守ってきた。円環の理以降は魔女が現れなくなっていたが、今度は魔獣と呼ばれる新たな敵との戦いが始まってしまった。

マミは見滝原市のはずれにある風力発電所のそばを通り、ゆっくりと回る風車の動きを見ながら歩く。

それにしても昨日の一件、なぜ暁美ほむらは『グリーフシードの転生』を図ったのか。マミたちも六千石町の人たちも無事に済んだから良かったものの、天生目ゆう子の身を危険にさらし、魔獣を生み出してまで何をしようとしていたのか。そもそもどうしてグリーフシードを持っていたのかが謎だった。ほむらは多くを語らないし、世界の破滅を望んでいるわけではないはずだ。前日の戦いにしても、最後に魔獣を仕留めたのはほむらの光矢だったし、何か意図があるのは明らかなのだが。

ほむらは常に冷静で無駄な争いをしないから、皆が理解できない行動も何か目的があるのに違いないとマミは考えていた。ただそれを話してもらえないのを少し残念に思いながらも、ほむらの性格を考慮してあまり深く問いたださないようにしていた。

マミの手にあるソウルジェムは相変わらず淡い発光を続けるだけで、グリーフシードの在処を掴めずにいた。魔力の波動も感じないし、魔女の結界も使い魔も現れない。ただソウルジェムの微かな反応は、この見滝原にあるグリーフシードの存在を告げていた。

「これじゃ埒があかないわね」

徒歩での地道な探索は魔女探しの常だが、ソウルジェムの反応が鈍すぎて方角すら把握できない状況なので、こうして市内の隅々まで探し歩くしか方法がなかった。日も暮れてきたところでマミは携帯電話を取り出し、着信履歴から電話をかけた。

「そっちの様子はどうかしら?」

『全然。 使い魔の1匹も現れやしないよ』

電話の相手は佐倉杏子だった。杏子は市内の緑地周辺を探索していた。

「そろそろ時間も遅くなっちゃったし、一度戻りましょうか」

『わかった。 じゃあほむらの家に向かうよ』

と言って通話を終える。ふたりは手分けして広い市内を探索していた。魔法少女同士のテレパシーはせいぜい100メートル圏内くらいしか届かないので、今回も携帯電話を持ち歩いていたのだ。ただし、ほむらは携帯電話を「必要ない」と言って持とうとしなかったが。

マミがほむらの家に着く頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。

暁美ほむらの家は真っ白な円形の部屋になっていて、天井からは大きな時計の機械部分が吊るされており、壁にはたくさんのディスプレイモニタが掛けられていた。モニタには、絵画のような壁紙のような不思議な模様をした映像がいくつも映し出されている。部屋の中央には丸いテーブルがあり、その周りを囲むように半円形のソファが置かれていた。

先に到着していた杏子はそのソファに座り、即席のカップ麺を食べていた。

「よお、遅かったじゃないか」

と言って、うっすらと湯気の立つ麺をズルズルと勢いよくすする。ほむらは静かに向かいのソファに腰掛けて

「その様子じゃ、何も見つからなかったようね」

いつものように淡々と、他人事のように言葉を発した。携帯電話を持たないほむらには今日の捜索状況は何も話していなかったが、顔を合わせて察したようだった。

「ソウルジェムの反応がこれじゃね」

マミが持つソウルジェムはやはり薄いオレンジ光を放っているだけで、さっきと光の強さが変わっていない。六千石町のときと同じでグリーフシードが近くにあるのか離れているのか、方向も距離感もまったくわからないので、今日一日では何も掴めなかった。

「それで暁美さん、もう一度確認しておきたいんだけど・・・グリーフシードの在処、暁美さんは知らないのよね?」

「同じ質問は時間の無駄よ。そんな詮索をするくらいなら、どうやって見つけるかを考えるべきね」

マミの質問を、ほむらはどちらとも取れない答えではぐらかした。疑うわけではないが、「もうひとつも私が仕組んだと思っているのかしら?」と言っていた昨日の答え同様に、はっきりしない返事が気になった。が、杏子は別のことを考えたらしく

「それよりさ、ほむらは何でグリーフシードを持ってたんだ? 魔女もいないのにどうやって手に入れたんだよ」

カップ麺の汁を飲み干してからほむらに問いかけた。確かにグリーフシードは魔女を退治したときに得られる魔法少女としての報酬だが、円環の理以降は魔女が存在していないので手に入れることはできないはずだった。マミもそのことは気になっていたので、ソファに座ってほむらの言葉を待った。

「グリーフシードは、魔女が落とすだけではないでしょ」

ほむらの答えは相変わらず言葉が少ない。杏子はため息をつきながら

「またそうやって、わかりくい言い方するなよなぁ」

理解できないと言いたげに不満な顔をするが、マミはすぐに気付いた。

「魔法少女の・・・ソウルジェムね」

「ええ、そうよ」

マミの洞察力はさすがで、ほむらの簡単なひと言だけでグリーフシード入手方法を言い当てた。

「魔法少女は私たち以外にも、どこかにいる。ほとんど残っていないかもしれないけど、この世界にはまだ何人か存在しているはずよね」

マミも杏子も忘れていたが、キュゥべえによって生み出された魔法少女は世界中にいる。魔女が存在しない世の中になってからはグリーフシードが手に入らないので、ほとんどの魔法少女がソウルジェムの穢れを浄化できずに円環の理によって消滅しているかもしれないが、中にはまだ生き延びている者もいるはずだった。

「でも穢れが溢れればソウルジェムはグリーフシードに変わるけど、円環の理によって魔法少女も、グリーフシードも一緒に消滅してしまうわよね」

それが円環の理による消滅だとマミは認識していたが

「円環の理は、魔法少女の救済とでも呼ぶべき存在よ。この世のすべての魔女を産まれる前に消し去るというのは、穢れに満ちた魔法少女を殺してしまうような意味ではなくて、穢れを浄化し、悲しみや憎しみのない世界へ導くことを意味しているわ」

ほむらがめずらしく多弁だった。

「つまり、穢れが溢れてグリーフシードへと変わってしまったソウルジェムを、清浄な魂の宝珠へと相転移させる。その作用の一環として、魔法少女とソウルジェムは救済されてこの世から消滅するのが円環の理」

これまであまり理解されていなかった円環の理を、こうも朗々と説明するほむらにふたりは聞き入った。

「グリーフシードの浄化が行われた時点で魔法少女は救済され、身体と共に安息の眠りにつくのよ。ただし、グリーフシードだけは元の魔法少女と完全に別個の存在になってしまうから、それを回収するのは不可能ではないわ」

マミも杏子も言葉が出なかった。ふたりはもちろん、過去に誰も魔法少女の穢れたソウルジェムを手に入れようなどとは考えもしなかっただろう。この発想が浮かんだのは暁美ほむらの、時間遡行者という能力があったからこそだった。

 

続く

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