オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-15)

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「待ってください、杏子ちゃんを助けにいかないんですか?」

すぐにゆう子が意外そうな顔で聞いてきた。

「杏子ちゃんは、まだひとりで戦っているかもしれないんですよね。それを置いて、行っちゃうんですか?」

強敵を相手にひとり残った杏子を置いていくわけにはいかない。自分を逃がすためにひとり残った杏子の身を何よりも案じているのはゆう子だ。マミにもその気持ちは痛いほどわかるが、軽率な判断はヘタをすればゆう子を巻き込み全滅の恐れもある。

「今は暁美さんと合流するのが賢明よ。ゆう子ちゃんが遭遇した敵は、私たちふたりで勝てる相手ではないわ」

「それは……どういう意味ですか?」

マミは自分の言葉にハッとした。

「巴さん、私たちふたりでって、杏子ちゃんは無事なんですよね?」

冷静に思案していたつもりが、マミの口から思わず不用意な言葉が漏れてしまった。

「ゆう子ちゃん、落ち着いて聞いてね。佐倉さんは多分、勝てなかった。私の魔力探知で捉えることができたのは暗闇と血の匂い。もう決着は着いていて、佐倉さんはきっと結界内で……」

「そんな!」

ゆう子の目に涙が浮かんだ。

「そんな……」

もう一度、力なく声を振り絞ったゆう子にマミは

「でも、もしかしたらまだ生きているかもしれない。その可能性はあるわ」

諦めてはいけない、と言った。

「私の魔力探知はね、佐倉さんのソウルジェムの波動を探知するの。そこから魔力の波長を合わせて佐倉さんに同調するんだけど、真っ暗で何も見えない中に血の匂いが漂っていたわ。真っ暗なのはきっと佐倉さんが目を開いていないから。血の匂いは出血が酷いんだと思うの。でも、ソウルジェムの波動を探知できているということは、佐倉さんのソウルジェムはまだ魔力を持っているということ。だから佐倉さんはまだ生きている、かもしれない」

かもしれない、と言ったのは

「私たち魔法少女は肉体の損傷は魔力で修復できるの。でも私に見えた佐倉さんは血煙を纏って瀕死の状態。ということは、もう魔力で肉体修復することができないほどにソウルジェムが限界に達しているということ」

つまり

「今はまだ生きているかもしれないけど、瀕死の身体を限界に達しているソウルジェムの魔力でギリギリ支えているとしたら……いずれ穢れが溢れたグリーフシードが円環の理を呼ぶことになるわ」

杏子は死の淵に立たされているということだった。

「だったら尚更、早く助けに行かなきゃダメですよ!」

「いいえ、違うの。だから尚更、暁美さんと一緒に行かなきゃいけないのよ」

マミは努めて冷静に、無理は避け、確実に杏子を助ける術を説明した。

「佐倉さんを助けるには暁美さんの力が必要なの。いい? 佐倉さんが勝てない相手に私が挑んでも勝てる望みはないわ。ゆう子ちゃんとふたり掛かりでも結果は同じこと。でも、暁美さんと私なら、相手を足止めするくらいならできるかもしれない。その隙にあなたが佐倉さんを連れて逃げることができれば、助かる望みはあるわ」

これが杏子を救うための最善の策だと考えた。

「大丈夫。佐倉さんは強い魔法少女よ、簡単に死んでしまうはずがないわ」

最後のマミの言葉は柔らかく包み込むようだった。瀕死に陥る杏子を想い絶望に伏しそうになるゆう子に、希望という名の温もりを与える優しい笑顔があった。

 

ほむらは単独行動が多く、携帯電話も持ち歩かない。マミの魔力探知も本人が遮断しているので居所が掴めないが、ほむらが家に戻っている可能性もあるのですぐにショッピングモールを後にし、ほむらの家に向かった。

陽はまだ高く、雲ひとつない青空が平穏な週末を見せているが、マミの心は穏やかではなかった。どうも不可解なことが多すぎる。杏子ほどの魔法少女が勝てない相手がいるものなのか。しかもそれは魔女ではないはずだし、昨日の魔獣のような強大な敵ならばマミのソウルジェムが反応しないのもおかしい。そしてこれはゆう子にも言っていないが、杏子は負けたのにどうして生きているのか。魔女の結界内で相手に打ち破られてしまえば死が必然。瀕死の状態とはいえ、ソウルジェムに魔力を宿した状態でまだ生きているのはなぜなのか。

急ぎほむらの家に向かいながら、マミは思案に暮れた。過去のように、使い魔がいて魔女が現れて……というシンプルな展開とは異なり、強大な魔力を秘めた相手の正体が見えてこない。今のところ魔女とも魔獣とも思えないし、街の人たちに変わりがないということは呪いや絶望を振り撒く存在でもなさそうだった。杏子を打ち負かしたのは一体何者なのか。

マミたちはショッピングモールを抜けて、大通りを北に走る。後ろにはキュゥべえが小さな四肢を小刻みに繰り出しながら付いてきた。ここからほむらの家まではそう遠くないが、杏子の身を考えるとどれだけ急いでも足りないくらいだった。

 

続く

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