オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(2-12)

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「……ちゃん?」

幼い少女と手を繋ぎ歩いていたマミは足を止めた。

「くるみちゃん?」

小さな手をピクリと反応させて、くるみはマミを見上げた。

「なあに?」

ニコリと笑顔を零してくるみは返してきた。

「おうちはまだ遠いのかな?」

オフィス街の公園を出てからずっと歩いてきたが、くるみの家にはまだ着かない。週末でひと気の少ないビルとビルの間の道を歩き続けている間、時折くるみが「こっち」と道案内をしてくるが、それでも30分ほどは歩いてきただろうか。幼い少女がひとりで遊びに出たにしてはずいぶんと遠くまで来たものだ、とマミは少し怪しみながら

「おうちの場所は覚えてるのよ、ね?」

と尋ねると

「うん、もうちょっとだよ」

と言ってマミの手を引き歩き出す。そのうちにオフィス街を抜け、幹線道路を渡り、小高い丘へと続く道を通っていくと、壁全体が白と黒の市松模様で覆われた大きな建物が目に入ってきた。周囲に他の建物はない。道の端に生い茂る芝生や青い空のコントラストに対して浮き出るような感じで建つ奇抜な建物はあまりに不自然で、長らく見滝原に住んでいるマミもこんな建物があったのかと驚いたほどだった。

「ここが、くるみちゃんの家なの?」

「そうだよ」

くるみは建物の方を指さし

「中にわたしのお友達も来てるから、お姉ちゃんも一緒に遊んでいこうよ」

言いながら力いっぱいマミのことを引っ張った。

「あ、ちょっとくるみちゃん……」

小さな少女の精いっぱいの力に引っ張られて、マミはヨロヨロと付き従う。こんなところで遊んでいる場合ではないのだが、くるみの無邪気な笑顔についつい抵抗できなくなっていた。

そんな時、マミの携帯電話が鳴った。

「ごめんね」

手を振りほどいて立ち止まったマミが携帯を取ると、着信は天生目ゆう子からだった。マミは「し~」っと人差し指を口の前に立てて静かにするようくるみに合図を送り、携帯の通話ボタンを押して

「もしもし、ゆう子ちゃん?」

と話し始めた。それを上目で見ていたくるみは、拗ねたような恨めしそうな顔でマミを見つめている。

「一体どうしたの? 落ち着いて。ええ、ええ、……佐倉さんが……そう。で、ゆう子ちゃんは今どこにいるの?」

マミの表情が徐々に険しくなっていく。

「わかった。今すぐそっちに行くから、キュゥべえと一緒に待っててちょうだい」

そう言って通話を終えると

「くるみちゃん、お姉ちゃんは用事ができちゃったから遊べなくなっちゃったの、ごめんね」

携帯電話をしまい、身体を屈めて申し訳なさそうにくるみに伝えた。くるみは上目のままマミを見つめ

「ふ~ん、じゃあしょうがないね」

と素直に聞き分け

「せっかく楽しい遊びがあるのに」

ふふふっと笑いながら市松模様の建物に横目を移して呟いた。

「それじゃ今度、時間があるときに遊びに来てもいいかしら」

マミは「約束ね」と言って右手の小指を差し出し、くるみの小指を絡めて

「指きりげんまん 嘘ついたら はりせんぼん飲ます」

指きりの約束を交わした。くるみは案外それで満足したのか、

「それじゃ今度ね」

幼い笑顔を残して建物の入り口に向かって走って行った。マミはそのうしろ姿を見つめ、くるみが建物のドアを開けて中に入って行くのを見てからショッピングモールの方角へと足を向けた。

ゆう子からの電話は、魔女の結界を見つけ、使い魔と戦い、今は杏子ひとりで戦っているという内容だった。自分は杏子に促されてキュゥべえと結界を抜け、ショッピングモールの中で電話をかけているという。杏子はひとりで平気だと言っていたが、「強い敵」を相手に万が一のことがないわけでもないと思い、すぐにマミに連絡をしてきたのだった。

話を聞いたマミは「佐倉さんらしい」と思った。ゆう子の身の安全を優先したのだろう。それに、ゆう子と一緒に戦うよりも、自分ひとりの方が戦いやすいと考えたのかもしれない。杏子なら簡単にやられてしまうことはないだろうが、確かに万が一のこともあり得るし、魔女の結界があったのなら、そこからグリーフシードへの手がかりも掴めるかもしれない。

くるみも家まで送り届けることができたし、ここからは迷子少女の面倒を見る優しいお姉さんから、この街を守り、皆を助ける強い魔法少女へと心を切り替え、マミは足を速めた。

マミが背を向けた建物からドアの閉まる音が聞こえた。そして明かりの点いていない市松模様の建物の中から

「あなた、佐倉さんていうのね。で、さっきのがお友達の巴マミさん。ゆう子ちゃんていうのもお友達なのかな」

と静かな声が漏れてきた。

 

続く

 

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