オリジナル小説 魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 別編 再臨の物語(1-6)

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杏子が作り出した結界の中で、ゆう子が両手を差し出しグリーフシードを掲げている。

(ほむらの言っていた、ゆう子の近くに魔女がいるってのはこのことか?)

グリーフシードは魔女の種みたいなものだ。
種は人間の憎しみや呪いを養分のように吸収し、穢れとして蓄積していく。
そして、その穢れが溢れれば魔女が孵化する。

しかし円環の理がある以上このルールは及ばない

はずなのだが。

マミの推測も暁美ほむらの言葉も、魔女は産まれないが魔女の意思が存在すると言っている。
ということは、ゆう子の掌にあるグリーフシードにはすでに魔女の意思があるということか。
イチジクの使い魔も、学校全体を覆う魔女の結界も、あの魔女の意思が生み出したものなのか。
そして目の前のゆう子は・・・。

「それはグリーフシード、よね?」

マミが後ろから杏子に、というより自分自身に問いかけるように呟いた。

「何を言ってるんだ、どう見てもグリーフシードだろ! やっぱりゆう子が持ってたんだ」

「ええ、確かに見た目も形もグリーフシードだけれど、それはまるで・・・」

マミは目を見開いて動かないでいる。

「くそっ、ゆう子・・・どうしちまったんだよ!?」

杏子はグッと力を入れてゆう子の肩を揺らすが、目も合わないし、反応もない。

「これのせいで動けないのか?」

掌のグリーフシードを払い落とすと、後ろからマミが

「ダメよ!」

と叫んだ。
グリーフシードを落とされたゆう子は一瞬正気に戻ったような目をしたが
すぐに体の力が抜け、杏子の前にガクッと倒れこんでしまった。

「え? なんだ?」

グリーフシードはマミの足元にカラカラと転がっていく。

「おい、ゆう子! ゆう子!」

杏子は抜け殻のように倒れたゆう子を激しく揺さぶり声を掛けるが
目を閉じて力なく横たわるゆう子はまるで

まるで死んでいるかのようだった。

杏子は揺さぶる手を止め、ゆう子の口元に顔を近づける。

「息を、していない」

一体これは何が起きているのか
まったく理解できないと言いたげに顔を上げるとマミがグリーフシードを持ってきた。
黒い煙のようなモヤを帯びているグリーフシードを、黙ってゆう子の胸元に置く。

「マミ、何をするんだよ!」

「いいから、見てなさい」

胸元にグリーフシードを置かれたゆう子がハッと目を開けると

赤紫色の霧が晴れ、空間の歪みは無くなり、イチジクの使い魔はみな姿を消してしまった。
すぐに床や壁を覆っていた茎も葉も消え失せ、尾島中学はあっという間に元の学校に戻った。

「魔女の結界が、消えた?」

妖しくて、凶々しくて、胸の悪くなりそうな空間が一瞬で普通の学校に戻った。
教室の中も壁も窓も特に乱れている様子はなく
授業中のワンシーンのように教科書やノートが開かれたままになっている。
窓側にいる生徒や教師たちはその場で倒れこんでしまったが、すぐにマミが見に行くと
どうやら全員が気を失っているだけのようだった。

「杏子、ちゃん?」

倒れたままのゆう子が細い声で呼んだ。

「ゆう子! 大丈夫か?」

「ごめんね私、杏子ちゃんを危険な目に合わせちゃったんだね」

「!」

危険な目に、ということはゆう子は今までのことを覚えている。

「朝、杏子ちゃんが言ってた黒い卵みたいなのって、これのことだったんだね。
でも今朝は覚えてなかったの、ごめんね」

と言うとゆう子は再び目を閉じ意識を失った。

「ゆう子、ゆう子!」

だが今度は眠っているのか気を失っているだけのようで、ゆっくりした呼吸が見て取れる。
どうやら生きているようだ。
ふうっと安心した杏子だが、ここまでの状況を考えるとかなり緊迫した
切迫した状態になっていることは明らかだった。

これからどうするべきか、冷静に言葉を発したのはマミだった。

 

続く

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